研究概要 |
(1)マルチチャンネルのカメラシステムの基本部を液晶チューナブルフィルタ(CRI-modelVISI)とモノクロCCDカメラ(SONY XC-75),パソコンで構築した.このシステムはフィルタの分光特性が固定されずに,可視域の450-650nmで可変である特徴をもつ.透過波長域を計算機で制御できるようにした.またレンズは標準のCマウントレンズを使用した. (2)各センサの分光特性の正確な知識が必要なため,モノクロメータと分光放射輝度計を用いて特性を推定した.まず液晶フィルタの分光透過率,CCDカメラの分光感度を求め,これよりカメラ系の総合的な分光感度を決定した.この結果,カメラ系の入出力関係は線形で,各チャンネルの透過帯域は半値幅で約50nmであることがわかった. (3)液晶フィルタを制御して分光画像を計測するシステムを構築した.シーンの輝度レベルは大きく異なり,しかも分光画像は暗いので,10ビット分解能のフレームグラバで画像データを獲得した.同一シーンをシャッタスピードを変えて複数回撮影し,これらを結合して,一枚の高ダイナミックレンジ画像を獲得する手法を開発した.450-650nmの10nm間隔で21チャンネルのマルチバンド画像を標準とした.これに必要な計測時間はおおよそ2分であった. (4)3次元反射モデルとして現実に存在する物体に適切なモデルを検討した.このためにカメラデータからモデルのパラメータを推定する方法を開発した.結果としてTorrance-Sparrowモデルが妥当であることがわかった.物体の材質を不均質誘電体とし,物体色,光源色,表面粗さ,拡散鏡面比等のパラメータを推定できた. (5)本研究に関連する応用として,[1]絵画の記録と映像生成に関するデジタルアーカイブ,及び[2]鏡面球を用いた光源分布の計測法を検討した.
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