雑音の多い画像上でコントラストの低い連続性の無いひび割れの検出を行うために分類法のアプローチを使用し、新しい識別器の開発を行った。この研究の重要な問題の一つは、有利な特徴量とサンプルの求め方である。 近年、人間が視覚情報を扱う際には、濃度の情報(spatial domain)と周波数情報(frequency domain)とを取り扱う機能が備わっていることが示された。そこで、本研究では、frequency domain及びspatial domainの特徴量の様々な組み合わせを用いてひび割れの検出に有利である特徴量を調べた。分類器としてニューラルネットワーク、最短距離法及びdecision treeとそれらの組み合わせを用いた。有利な特徴量特の検出するには、今回、Reliefを使用した。実験結果より、frequency domainの特徴量はひび割れの検出に有利であることが確認された。特に、ウォルシュ・アダマール変換で得られる特徴量を使用した結果は、高い認識率を示した。より有利なspatial domainを用いることで、更に認識率は向上するものと考えられる。そのためには、本研究で使用したモーメント以外の新たな特徴量を模索する必要がある。この問題は今後検討していく予定である。さらに、学習に有利な代表的サンプルの新しい検出法も提案し、実用性を示した。研究した様々な結果を学術論文にまとめ、三つの国際会議に提出した。
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