研究概要 |
本研究の前半では、ひび割れの検出に有効な特徴量の取得や組み合わせなどに注目した。しかし、有利な特徴量が多く存在するため、全てを用いて知識獲得を行うと、処理時間が増えるとともにノイズの影響が強くなる。また、学習により得られる識別器が複雑なものになり、実用性が低い。そこで、機械学習やパタン認識のrelevanceおよびirredundanceの根本的な問題に取り組んで、relevant, irredundant featureの検出アルゴリズムの開発を研究目的とした。研究結果として、relevant, irredundant featureの検出アルゴリズムPTD2.1の開発に成功した。PTDはフリーウェアとして開発し、http://lacom2.ice.ous.ac.jp/lash/rel.htmlからのダウンロードが可能である。この手法は厳密な数学的理論に基づいており、実験結果では従来手法より優越であることが示された。さらに、関連ノイズサンプルの除去とrelevantサンプルの検出問題にも取り組んだ。機械学習にはない、画像処理のfrequency domainフィルタリングのような、全く新しいアプローチを提案した。この手法は、relevant, irredundant feature概念に基づいており、relevant, irredundant featureを定める代表的なサンプルを検出し、それ以外のものをノイズと見なす手法である。さまざまなデータベースで実験し、提案した手法の実用性を示した。識別器のほうにも注目し、対立評価に基づく新しい学習法CELを提案した。CELは未知サンプルをそれぞれの学習データのクラスに加え、生成されたノイズを測定することによって未知サンプルの所属を導く。さまざまなデータベースで実験し、従来法と比較してCELは高い認識率を示した。今後の課題は開発提案した手法を一つのシステムにまとめ、ひび割れの特徴量に適用することである。
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