研究概要 |
本研究は,来るべき電子図書館時代に向けて,図書館の自動化と電子化(Library Automation&Digitization)に関する基礎的な検討と要素技術を開発することを大きな目的とする.ネットワーク情報化社会において適切な図書館サービスを提供するためには,サービスの電子化(ディジタル化)は必須である.しかしほとんどの図書館はそのための要員確保が困難である.現在行われている図書館業務を自動化により大幅に省力化し,その余力を電子化に振り向けることが現実的な解決策である. 今年度は,これまで行って来た1次(コンテンツ)や2次(目録情報)資料の電子化に加え,自動化も意識した研究を進めた.また,研究成果として得られた知見や経験を招待講演などの機会を利用して発表し,啓蒙に努めた. 図書館自動化の要として我々が主に取り組んでいるのは,RFID (Radio Frequency Identification)技術を利用した蔵書管理の効率化である.RFIDタグはICチップとアンテナから構成される.RFタグは,外部にあるリーダ・ライタ(Reader/Writer, R/W)から電磁誘導原理により供給される電力を利用してR/Wと電波による通信を行う.この能力を用いると,外部から与えられたデータをICチップ内のメモリに記憶したり,ICチップ内のID情報などを外部に伝えたりの機能を非接触により実現できる. 今年度我々はラベル状のRFIDタグを蔵書に貼付し,貸出・返却や蔵書点検の効率化を進める現実的な方策の研究を更に進めた.成果の1つは九州大学附属図書館筑紫分館においてRFIDタグシステムの実験的導入を行ったことである.その成果は,季刊文教施設や招待講演などを通じて発表した.現在,目録カードイメージ検索システムとRFIDシステムを統合化したシステムの研究開発を進めている.
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