研究概要 |
本研究では,「創造活動の端緒をつかむのを支援するコンピュータ環境を,電子図書館に関連する技術を使って構築すること」が目的である。ここでいう環境とは,電子図書館で取り囲まれた,内容あるいは時間に依存した作業部分空間の総体を指す。各部分空間は作業に必要な複数のウインドウから成る。平成13年度は次年度での試用に向けた支援環境の実現に当たった。具体的には電子図書館の構築と作業空間の実現である。 電子図書館の構築に関しては,情報要求に見合うWeb中の文献がブラウジングによって効率よく取り出せる方法を開発した。さらに,文献だけでなく,イントラネットを介して共有されているアプリケーションデータ等も統一的に扱える方法の開発も済んでいる。アプリケーションデータはキーワード以外に格納場所を示すパス名でも特徴づけられる点が違う。多用な情報を扱うこの電子図書館は,創造的活動のための共通場を作り出す。ブラウジング以外に必要な情報操作としては,アイデアの書き込み,断片的情報の組み合わせ,クラスタ化,分割,整理ならびこれら操作結果の再配架がある。これらの実現には,新作料理を作ることを題材にした雛形モデルを作り試行を進めている。 作業空間としては,マルチディスプレイの利用で縦横方向に,部分空間を階層化することで奥行き方向に広がった,広大な仮想3次元空間を実現した。各部分空間はまとまった作業を扱う単位で,複数のウィンドウから成る。創造的活動のためには,多くの情報を取得するために各部分空間をスムーズに移動できなければならない。この点に関しては,画像センサを備え付けて,利用着が意図を自然にとらえるような構成にした。この空間での作業効率については試行により,通常のウィンドウ環境よりすぐれていることを評価した。
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