研究概要 |
本年度は,戸口伝言板については,運用を進め,定性評価や定量評価を行った.ネットワークの負荷よりも,JAVA環境での負荷が大きいことが判明した.本システムの研究から派生した手書きの匿名性や秘匿通信路についての研究では,さらにステガノグラフィの安全性の評価についての知見を得た. 戸口チャットシステムについては,運用を進め,定性評価や定量評価を行った.当初,のぞき窓機能等のセキュリティ機能の検討と設計を行う予定だったが,新たに,影と音のアウェアネス機能を応用したWWWの「戸口ブラウザ」を考案し,現在実装中である. 戸下通信については,実装したシステムの運用を通し,「倉庫代わり」「コインロッカー」のような利用方法の需要を見つけた.これらは,戸下通信の機能とメールシステムの差異を明確にする点でもある.すなわち,メールシステムは,ユーザ同士の通信のためのシステムであり,戸下通信は,場所を介した情報交換システムである. この他,新たに「戸漏れ通信」,すなわち,戸を通して感じられる部屋の中の雰囲気を知る通信システムを考案した.今後,学会などで発表して行きたい. 当初,戸口通信のモデルなどにこだわったが,戸口チャットシステムの展開や,戸下通信に見られるように,本研究の戸口通信は,戸のメタファを利用した通信システムを構築することが始まりであり,それらの思いもかけない利用方法を見つけることで,ネットワーク上の新たな通信手段を発見することに至った.今後,これらの新しい手段のモデル化に取り組みたい.
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