研究概要 |
本年度は,戸口伝言板については,複数伝言板の管理システムのユーザインターフェースを改善し,ユーザビリティ評価を行った.今後,以下の他の戸口通信システムについても,戸の統合空間を実現させて行く. 戸口チャットシステムについては,秘匿通信機能を付加し,さらにそこで,インフォーマルコミュニケーションがどの程度フォーマルになるかについて検討した.その結果,Non Diclosure Agreement(NDA)の契約のプロトコルが必要ではないかという案を得た.本機能はまだ設計段階である.秘匿チャットシステムがどちらかというと否定的なコミュニケーション環境を提供してしまうのに対し,戸漏れ通信的な機能も開発して行くべきだとのフィードバックも得ている. 影と音のアウェアネス機能を応用したWWWの「戸口ブラウザ」については,通りすがりの機能をWWW上の共有空間で,他のユーザの足跡がリンクに残されるという形を考案した.本システムにより,以前からの課題であった「通りすがり」の実践ができつつある.プロトタイプシステムを実装したので,現在,運用を進めている.なお,本システムについては,情報処理学会第66回全国大会(平成16年3月)の学生セッションで博士課程前期1年の鈴村圭史が発表し,学生奨励賞を受賞した. 戸下通信については,運用を通し,定量評価と定性評価と行った.戸下通信の機能とメールシステムの差異についても,ユーザビリティ評価と行い,戸下通信がより場の概念に沿ったシステムであることが改めてわかった.今後,WWW上の情報の置き場としての機能をセキュリティの品質に応じて,「棚」や「コインロッカー」など様々な形を考えて行く予定である. その他,手書きのセキュリティに関しては,さらに手書きにおける匿名性やステガノグラフィのコンセプトが明確になり,今後,まとめて発表して行く予定である.戸口に関するモデル化も進め,ネット上の戸口の意味などをまとめ,戸口通信全体について発表して行きたい.
|