研究概要 |
本年度は、前年度に行った基礎とするポリシ記述言語とワークフロー記述言語の構築の結果を踏まえ,進化型アーキテクチャの洗練化と検討用事例の詳細化ならびに,ポリシ解析手法とアーキテクチャとのすりあわせを行った。本研究計画は平成14年度科学研究費補助金(特定領域研究(2)「仕様/環境の変化に対応するソフトウェアのためのエージェント指向開発方法論の構築」(代表者:飯島正;課題番号:14019086)とリンクしており,本研究計画が基礎となるアーキテクチャ(振る舞い(ワークフロー)の記述とポリシの記述との関連付けなど)を担当し,もう一つの研究計画がそのための開発方法論(ポリシの抽出など)を受け持っている. 本年度取り上げた検討用事例は,前年度の「エージェント指向情報システムのセキュリティポリシ」を更に詳細化した「エージェントによるWebサービス連携におけるセキュリティポリシ」である.この事例に適したポリシ解析手法として(カラー)ペトリネットを採用した.その理由は,情報の漏洩,権限の委譲といったフローに関わる解析を到達可能性で,過剰な要求による機能停止といった量的な解析を限界性で取り扱うことにある.本研究計画では,Webサービスのための振る舞いの記述(特にDAML-Sのプロセスオントロジ,他にWSFLならびにBPEL4WSも一部検討中)をペトリネット記述へ変換し,セキュリティポリシを表現するペトリネット記述(これもポリシ記述言語の記述から変換する)とマージして,ポリシ違反を検出することを試みた.また,ペトリネットとは別に,プロセス代数で記述した振る舞いとプロセス論理で記述した仕様(ポリシ)を持ったエージェントが,合成によって仕様(ポリシ)に違反しないかを検証するというアプローチでも研究を進め,その性質の幾つかを明らかにすることができた.
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