研究概要 |
凹関数の値を所与の定数以上とする制約の追加された線形計画問題は逆凸最適化と呼ばれ,典型的な非凸計画問題であり,凹最小化問題の一般化としても知られている.凹関数が1変数関数の和に分離可能と仮定しても応用上の重要性は損なわれないが,この分離可能逆凸最適化問題の大域的最適解を求めるために3種の分枝限定法を構築した.いずれの方法も,逆凸問題の大域最適解が,目的関数と制約凹関数の役割を入れ替えることで得られる凹最小化問題の最適解に一致する双対性を利用している. 第1の方法では,双対問題である凹最小化問題の局所解を求め,その解よりも逆凸問題の目的関数が優れた値となる条件を双対問題に課し,その大域的最適解を求める.双対問題の目的関数は逆凸問題の制約関数であるので,その値が条件を満足しなくなるまで,局所最適化と大域的最適化を交互に反復して解の改善を図る.双対問題の大域的最適化には矩形分枝限定法を用いるが,分離可能性により,通常の非凸計画問題よりも効率よく機能する. 第1の方法は分枝限定法を手続きとして利用するにすぎないが,第2の方法では主要な役割を演じる.上記の双対性は線形計画問題にも成り立つので,制約凹関数を劣包絡関数で置き換えた線形計画問題に双対単体法を適用する.この線形計画問題は逆凸問題の下界値を与えるので限定操作が可能となる.分枝操作は,分離可能の仮定によって整数計画問題の場合と同様に行うことができる. 第3の方法は第1の方法の改訂版とみなすこともできる.双対問題の大域的最適化の過程で,その大域的最適解の存在しないことが確認された領域の大部分は,以降の反復における双対問題の大域的最適解も含まないことが保証できる.これによって手続きとしての分枝限定法への負担を大幅に軽減することができる.
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