研究概要 |
社会システムへの応用が豊富な3つのクラスの非凸最適化問題に対する研究を主に行なった: (1)最適化問題のほとんど全ては,目的関数と制約関数のいずれも2つの凸関数の差として表すことができる.この性質を用いて問題を逆凸制約条件が1つ追加された凸最小化問題に変換できる.この非凸計画問題に対して3種の分枝限定法を提案した.いずれの算法も,逆凸制約関数が分離可能な場合,有限回の反復で大域的最適解を生成することを示した. (2)分数和問題は線形分数を凸集合上で最小化する問題だが,効率的な処理の難しい問題として知られている.その最適値に対するタイトな下界値を僅かな手間で生成する手続を構築した.これを分枝限定法に組み込み,従来の算法よりも遥かに効率よく問題を解くことに成功した. (3)化学プロセス設計問題の多くは最適化問題として定式化できるが,混合整数非線形計画問題などの高度な非凸性をもつ問題となる.この問題を解くために,分枝限定法と一般化ベンダース分解を組み合わせた算法を提案した.典型的な化学プロセス設計問題に対し,算法が大域的最適解へ収束することを証明した. 提案した算法はいずれも分枝限定のアイデアを基礎としている.そこで,限定操作の効率化のために緩和問題を解く内点法の研究も行なった.
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