研究概要 |
本課題は、公共・非営利組織である学術図書館における成果評価(サービス品質の評価)に関する国際共同研究である。 1)昨年度実施した3カ国でのサーベイ調査結果(日本の2大学及び、英国並びにフィンランドの各1大学の図書館)から、探索的・確認的因子分析によって、学術図書館における情報サービスの品質測定に関する四つの因子を摘出・検証し、準備段階で得たローカルな知見が国際的にも適用できることを確認した。得られた四つの局面は、(1)職員、(2)場としての図書館、(3)コレクション・アクセス、(4)組織である。(1)と(2)は、サービスのプロセスに関わる部分で、(2)と(3)は、サービス結果として得られるものに関わっている。これについては学会誌における出版、及び学会発表を行った。 なお、14年度中にタイの研究員との共同で行った、タマサート大学の調査においてもこの知見は確認できた。 情報サービスに対する顧客の品質測定は、異なる機関(地域・国)にあっても、図書館情報サービスについてであれば、その品質測定にこの基本的なサービス局面が設定できる。 2)顧客(利用者)の品質測定根拠となる価値・判断パス・基準などを具体的に把握するために、3カ国4大学図書館においてフォーカス・グループ・インタビュー調査を実施し、それぞれのトランスクリプト作成を行い(英文に統一)、現在それらの分析に入っている。 また、来年度に向けて、サービス品質測定調査結果を相互に比較するための基準,(結果をベンチマークとしうるかどうか)を模索するために、サービスヘの期待、あるいは価値づけといった側面を測定する、新たな調査手法(コンジョイント分析)を準備した。
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