研究概要 |
本年度はまず,昨年度までの研究成果をふまえ,ポイントデータ,サーフェスデータ及び空間分割データに対する時空間解析手法の理論構築を行った.これらはいずれも,平成13年度に開発したポリゴンデータ向けの手法を修正することで実現した. まずポイントデータに対しては,データをサーフェスデータに変換し,サーフェスの特徴点及びそれらの間の空間関係を用いて点分布を記述・可視化する方法を提案した.この方法は,可視化においてGISの利用を強く意識しており,今後広く用いられることが想定される. サーフェスデータに対しては,特徴点から自ずと導き出される2通りの時空間分割を利用した分析手法の開発を行った.2つの異なる次元を同時に扱うため,サーフェスデータについて常に2通りの分析手法,指標,結果が得られている. 空間分割データに対しては,回帰分析の概念を空間データに援用した解析手法を提案した.複数の空間分割データによって他の空間分割データを説明するものであり,特に,地域ごとに異なる空間分割データを当てはめて説明するという点で新規性がある. 以上開発した3つの時空間解析手法を,NTTタウンページデータ(ポイントデータ)とインドのセンサスデータに適用し,その有効性を検証した.前者は現代の都市変化を表す詳細な空間データであり,分析の結果,都市部における商業施設分布の劇的な変化の背景を理解することができた.後者は100年ほど前の農村地帯における人口動態を示すデータであり,その分布構造と行政単位構造,支配階層構造などとの関係を分析することができた.
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