研究概要 |
1.状態変数が拡散過程で記述される場合、必ずしも拡散過程では記述できない場合の派生商品の値付けにおける漸近展開による近似法の数学的基礎付けをマリアヴァン-渡辺理論により完成させた。("On Validity of the Asymptotic Expansion Approach in Contingent Claim Analysis", Annals of Applied Probabilityに掲載予定)2.動的ポートフォリオ理論において状態変数が拡散過程に従う場合の最適ポートフォリオをOcone-Karatzas(1991)に基づき数値的評価が可能な表現を与えた。さらに漸近展開手法を用いた近似式を導出し、数値実験によりその有効性を確認した。(An Asymptotic Expansion Scheme for the Optimal Portfolio for Investment 投稿中)また、応用として債券投資におけるイールドカーブ戦略を数値的に求める問題の中で同手法の有用性を確認した。(Dynamic Optimality of Yield Curve Strategies, Discussion Paper Series Faculty of Economics University of Tokyo, CIRJE-F-141(2001)3.低次(通常2次まで)の漸近展開の近似で得られる以上の精度が要求され、より高次の漸近展開を得ることが困難な場合、低次の漸近展開による近似を用いモンテカルロ・シミュレーションの効率性を向上させる手法を考案した。その有効性は前述のイールドカーブ戦略の数値計算、原資産価格がsquare-root processに従う場合の平均オプション価格の計算などの数値例で確認した。(「日本統計学会」2001年9月、「科研費シンポジウム,確率過程と統計的漸近理論」,2001年12月にて報告)4.状態,変数がジャンプ-拡散過程に従う場合の債券価格の漸近展開手法による近似式を導出。また、倒産リスクをジャンプ過程で表現し、転換社債の値付けに関する新モデルを提示し、他の実用的なモデルと数値的に比較、その有用性を確認した。("Pricing Convertible Bonds with Default Risk", The Journal of Fixed Income 11,(2001))
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