研究概要 |
1.近年盛んになりつつある複数財オークションについて,ゲーム理論の立場からの解析を行った.複数の財をまとめて入札できるという特徴をもつ,複数財オークションは,アメリカにおける周波数のオークション等で採用される予定となっており,実務での重要性も非常に高い.この研究では,複数財オークションにおいて,各入札者の価値関数が特定の補完財に対してのみ正の価値をもつならば,純粋戦略からなるNash均衡点が存在することを証明している. また,周波数オークションの特殊ケースである,補完財が連続する区間となっている問題については,Nash均衡点を求める多項式時間算法が存在することを証明している.更にこの場合は,Nash均衡点の列挙とランダムサンプリングも多項式時間で実行できる事を示した. 2.時間割作成問題の重要な特殊ケースであるスポーツのスケジューリング問題について研究を行った.各チームのホームあるいはアウェイゲームが連続することをブレイクと呼ぶが,良いスケジュールであるためには,ブレイクが少ないことが望ましい.この研究では,各チームがブレイクを丁度1つずつ持つスケジュールに注目し,研究を行った.詳しく述べるならば,各チームのホームとアウェイを定めた場合,ブレークを丁度1つずつ持つようなスケジュールが存在する必要条件を提案した.またこの条件は,チーム数が22以下ならば,必要十分であることを,高速な列挙算法を開発し,その計算実験を通して示した.また実際に,2001年のJリーグの試合スケジュールについて,ブレークが各チームに丁度1つずつ持つスケジュールがあることを示した.
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