研究概要 |
1.医療統計の分野で検定に用いられる分割表において,その数を数え上げる問題に対し,どんな数値例に対しても必ず要求精度を守る解を生成する高速な近似解法の提案を行った.この解法の速度は,多項式時間サンプリング算法が存在するという仮定の下では,分割表の入力サイズと,要求精度の逆数の多項式時間である.多項式時間サンプリング算法の存在については不明であり,世界で数多くの研究者によって現在挑戦されている有名な問題である. 2.分割表をサンプルする多項式時間近似算法の提案を行った.医療統計において正確検定を行う際,マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC法)による積分計算が用いられる事が多い.本論文では,現実にしばしば現れる形状の多次元分割表に対し,MCMC法に用いる高速なマルコフ連鎖の提案を行った.本研究で提案するサンプリングアルゴリズムは,確率的近似解法であり,その計算時間は,分割表の入力サイズと近似比率の入力サイズの多項式で抑えられる.多次元分割表に対し,多項式時間の近似サンプリング算法は現在までに殆ど知られておらず,この結果から今後さらなる発展が期待される.
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