研究概要 |
宮代隆平との共同研究により,スポーツスケジューリングにおける最適ホームアウェイテーブル作成問題対するElf予想を肯定的に解決することができた.これは,ブレーク数を最小化する問題において,最適値がチーム数未満であるかを判定する問題が多項式で解けるという予想であり,ドイツの研究グループであるElfらによって提唱されていたものである.Elfらはこの問題が特殊な最大カット問題であることから多項式時間解法が存在することを予想していたが,我々の研究によって,最大カット問題ではなく2SAT問題として定式化することによって多項式時間で解かれる事が示された.また,最大カット問題として定式化された際の近似解法についても提案を行っている. 本年より,列挙解法の一つであるサンプリング法について研究を行った.本年は,統計においてしばしばも位置いられる分割表について,その生成を行うサンプリングアルゴリズムの構築を行った. まずは,松井泰子及び小野陽子との共同研究によって,2×2×・・・・×2×Jという形式の高次元分割表について,多項式時間の近似サンプリング法の擾案を行った.この論文では,一様分布と超幾何分布の2つについて,分布に従った確率で分割表を生成するアルゴリズムを提案している.これまでの多くの研究が,2次元分割表の一様生成であったのに対し,初めて高次元の分割表を取り扱う事のできる多項式時間サンプリング法となっており,また,一様分布だけでなく超幾何分布についても取り扱うことのできるものとなっている. 更に,来嶋修治との共同研究により,2次元分割表で2×Jの形式のものに対し,多項式時間の厳密サンプリング法の提案を行った.これまでの分割表のサンプリングアルゴリズムがすべて近似サンプリング法であったのに対し、このアルゴリズムは初めての多項式時間の厳密サンプリング括である.アルゴリズムはProppとWilsonによって提案されたCFTP(Coupling From The Past)法のアイデアを用いており,2×Jの分割表については,単調マルコフ連鎖が存在することを示す事によって,単調CFTP法のアルゴリズムの構成に成功している.
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