研究概要 |
平成14年度は,平成13年度に行ったPUBBをベースにした試作版の構築を継続した.フレームワークの再構築により,本研究で目指したHTC環境上での汎用最適化ソルバーの試作版としてPUBB2フレームワークが完成した. 当初計画していた1000台以上の計算機環境での数値実験は行えなかった.GRID環境に対するインフラ整備が急速に進む中で,身近に使える環境がなかったためである.ただし,フレームワークとしては,全面見直しを行ったため,GRID環境で動作させるためのサブシステムは,プラグインとして開発できるソフトウェアアーキテクチャとなっている.以前のPUBBと大きく異なるのは,逐次環境,PCクラスタ環境,GRID環境といった動作環境へ,アプリケーションである最適化問題を解くソルバーを実装する際に,アプリケーションのコードは1行も変更することなく移行できる構造を持った点である(以前は,わずかなソースコードの変更が必要であった).今後,GRID環境向けのシステムも継続して構築する. GRID環境での実行は行えなかったが,試作したPUBB2フレームワークにより,商用で最も高速なソルバーの1つとされるCPLEX混合整数計画間題ソルバーを,PCクラスタにおいて並列化した.この実装と数値実験により,フレームワークの柔軟性を確認した. 平成14年度は,2年の研究期間に開発したPUBB2フレームワークについて論文にまとめた.ただし,数値実験は研究機関終了直前にしか行えなかったため,主たる研究成果をまとめた論文2編は,現在,国際会議へ投稿中である.
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