研究概要 |
本年度は、昨年度開発した、相互作用データの対角要素が使用可能な場合の線形化重力モデルの不偏分解法に基礎をおき、その改良、及び、使用不可能なときの不偏分解法の改良を行い、応用として、都道府県間人口移動1954-2003に関して、空間的相互作用の確率分布の推定を行った。 1.昨年度開発した不偏分解法の改良を行い、関係性、放出性、吸収性、全体調整項の一括推定手続きを示した(雑誌論文1,6)。 2.関係性の推定に関して、多次元尺度構成法を導入し、統計量としてより効率性の高い関係性の推定量を座標値の形で導出することを可能とした(Linear-ORDEC-MDS)。また、これまで全主体に関して同一固定であった自己関係性も、共通あるいは個別に推定が可能であることを示した(雑誌論文2)。「歪んだ」認知空間に関しては、着手できなかった。 3.分散異質性への対処としては、種々の多変量離散確率分布を地域間人口移動の発生過程として解釈し、移動世帯の規模分布との複合分布を導出し、分散及び共分散と期待値との関係を明らかにした(雑誌論文3)。 4.前段階の成果の元に、3主体間の相互作用を組み合わせて、相互作用の確率分布を推定する方法Linear-ORDEC-ERRORを開発した(雑誌論文4)。 5.相互作用OD行列の対角要素をしないオッズ比分解法を、4主体間の相互作用を組み合わせ、多次元尺度構成法を利用した枠組みをLinear-ORDEC-NDとして提示し、関係性の推定を一般化最小自乗法で行得ることを示した。(雑誌論文5)。 6.上記4の成果を利用し、都道府県間人口移動1954-2003の空間的相互作用の発生確率分布のパラメーターを推定し、共分散が存在する非独立モデルよりも、共分散の存在しない独立モデルがより実際データに当てはまることを明らかにした(3/22現在未公表、実績報告書掲載予定)。
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