研究概要 |
本研究では、オッズ比分解法の性質を理解するために、社会経済相互作用データ行列の対角要素が使用可能な場合と使用不能な二つのケースに適用可能な、線形化重カモデルの不偏分解法を開発した。 1.オッズ比分解法の問題点を検討し、独立同正規分布の誤差項を持つ線形化重力モデルを対象にしたオッズ比分解法を一般化オッズ比分解法として開発することの意義を明らかにした。 2.種々の交差積比を用いた不偏分解法の改良を行い、関係性、放出性、吸収性、全体調整項の一括推定手続きを示した(雑誌論文4,5)。 3.関係性の推定に関して、多次元尺度構成法を導入し、統計量としてより効率性の高い関係性の推定量を座標値で導出することを可能とした(Lincar-ORDEC-MDS)。また、これまで全主体に関して同一固定であった自己関係性も、共通または個別に推定可能であることを示した(雑誌論文6)。 4.分散異質性への対処としては、種々の多変量離散確率分布を地域間人口移動の発生過程として解釈し、移動世帯の規模分布との複合分布を導出し、分散共分散と期待値との関係を明らかにした(雑誌論文7)。 5.前段階の成果の元に、3主体間の相互作用を組み合わせて、相互作用の確率分布を推定する方法Lincar-ORDEC-ERRORを開発した(雑誌論文8)。 6.相互作用OD行列の対角要素をしないオッズ比分解法を、4主体間の相互作用を組み合わせ、多次元尺度構成法を利用した枠組みをLincar-ORDEC-NDとして提示し、関係性の推定を一般化最小自乗法で可能であることを示した。(雑誌論文9)。 7.都道府県間人口移動1954-2003の空間的相互作用の発生確率分布のパラメーターを推定し、共分散が存在する非独立モデルよりも、共分散の存在しない独立モデルがより実際データに当てはまることを明らかにした(未公表)。
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