研究概要 |
感性品質の評価構造を探索する実験方法として, (1)Semantic Differential(SD)法 (2)一対比較法 を取り上げ,個人差の抽出を強く意識したデータ解析の方法論,およびその解析システムの開発に取り組んだ. 本年度は,(1)Semantic Differential法に関して;階層構造を仮定した感性の評価構造の個人差分析を行うためのデータ解析手法を提案した(日本品質管理学会誌"品質"へ投稿中).また,この方法をベースとして被験者の感性の豊かさを計量するための指標を提案した(日本行動計量学会において発表).対応する解析システムの開発に関して,実験データの入力のインタフェイス,個人差分析のためのSD法データの解析ソフト,感性の豊かさを計量するための解析ソフト(いずれもEXCELを使用)を個別に開発した. (2)一対比較法に関して;一対比較法として,一対の対象の評価スコアに方向性がある場合と方向性が無く類似性評価の場合を取り上げた.前者では,野澤他の方法(品質,Vol.25,No.3)の有効性を事例によって検証し,また,評価構造に階層構造を仮定した解析方法を加えた(日本人間工学会において発表予定).後者では,個人差多次元尺度構成法の代表的な手法であるINDSCALによる解析を行う前のデータ処理方法(尺度構成の被験者間の距離を提案したもの)を開発した.また,SD法と同様に,これらの解析ソフトを個別に開発した. 以上の個別に開発した解析ソフトを統合化した解析システムに発展させるための準備を進めている.
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