視覚障害者の道路横断を支援する目的で開発された道路横断帯、通称エスコートゾーンに関して利用者の視点から評価を行っている。これまでの研究で、エスコートゾーンのユーザビリティを向上させるには、それ自体の仕様や敷設法に加え、音響信号機との連携を検討する必要のあることが示唆された。 そこで本年度は、音響信号機のスピーカの位置が利用者の横断歩道口における方向定位に及ぼす影響を実験的に調べた。すなわち、スピーカの位置を、横断帯の位置と方向を知らせる触覚的手がかり(サインブロック)の直上に設置した場合と、従来通り横断歩道口の端にある歩行者用信号灯器付近に設置した場合を、方向定位性はどちらの方が高くなるかを調べた。被験者は目隠しをした大学生10名であった。目的地までの歩行軌跡と所要時間および主観的印象を評価指標とした。 実験の結果は、サインブロックの直上にスピーカを設置した方が方向定位性が高いことを示された。横断帯の敷設にあたっては音響信号機との連携が重要であることが明らかとなった。
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