研究概要 |
近年,多くの企業体を包含したものの流れの効率化を目指すサプライ・チェーン・マネジメント(SCM)が脚光を浴びている.しかしながら,生産・物流・販売を包括する多段階システムにおけるフロー制御のモデルは確立されていない.本研究では,ハイブリッド生産方式と多重ループ制御という二つの考え方をベースに調達・生産・物流・販売を統一したフロー制御の体系化を目指したところに特徴がある.ハイブリッド生産方式は受注生産と見込生産の利点を結合し,ダイナミックな需要変動に対処しようとするものである. フロー制御に関する研究の多くは国内外でかんばん方式の改良といった形で進められ,その適応環境の拡大が図られている.しかしながら,従来のかんばん方式の枠組みから脱却することができないでいる.「最適なフローを作り出す方式は何か」といったごく当たり前の発想から出発することによって,多くの代替案が存在することが明らかになった.多段階システムにおいて,すべての段階からその上流工程へのかんばんループをもつ多重かんばんループシステムの性能をシミュレーション評価することにより,すべての下流工程から源流工程を制御する入れ子型かんばんループ構造の有効性が明らかにされた.また,多様な生産フローの構造が実地調査され,多段階生産・物流モデルの構築に利用された.さらに.大規模な生産システムを高精度で高速に解析できる準モンテカルロ・シミュレーション解析法が開発された.これらの研究成果を利用することによって,グローバル環境下における国際生産・物流シミュレータの開発が可能であると考える.
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