本研究は、環境問題を中心とする地球規模の問題群についてシステム・ダイナミックス・モデル(SD)を用いて個人・企業・地域・国家・世界を結ぶ多重階層型世界モデル(グローカルモデル)を開発することを目的とする研究である。これまで、平成13年度には、階層別基本モデルの作成として、J.W.フォレスター等の作成した世界モデルをSDシミュレーション専用ソフトPowerSimとStellaにより作成した。地域レベルでは首都圏モデルStella版、大学所在地の板倉町モデルPowerSim版を作成した。平成14年度は、以上の成果を基に、グループ・モデリングに向けてシステム思考(ST)とSDに関する研究を行った。その結果、STとSDの連続的なプロセスの重要性が確認された。 平成15年度にはその結果、本研究のSTとSDによるグループ・モデリングを連続的かつ一体的に効果的に行うための新しいシミュレータソフトSimTaKNの開発を6月に企画提案し、中村州男氏の協力により8月末には試作品が作成された。その後協働で機能の洗練化と高度化を行い、10月には本ソフトが市販された。開発されたソフトは非常に簡便かつ高度なグループ・モデリング機能を有しており、SDソフトとしてもグローカルモデルで開発された世界モデルを置き換える作業を行ってその機能を検証した。これらは国際開発学会、国際SD学会日本支部、日本衛生学科において発表を行った。大学周辺地域の自治体職員12名による持続可能な地域づくりモデル4グループ、学生による21世紀の群馬県モデル7グループなどグループ・モデリングでも成果を上げた。前者は本学地域活性化研究所のシンポジウムにおいて、後者は群馬県主催の研究発表会において発表した。更に、本ソフトとその研究成果の発表を国際SD学会(2004年7月、英国オックスフォード大学)に登録している。
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