管理技術競争力に関する研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13680539
• 研究機関: 金沢工業大学
• 研究代表者: 石井 和克 金沢工業大学, 工学部, 教授 (20151318)
• キーワード: 経営技術競争力 / 価値モデル / ステークホールダー / リーダーシップ力 / 経営資源化力 / 事業プロセス力 / アンケート調査 / 科学的管理法

研究概要

本研究では科学的管理を理念とする管理技術体系を基礎として、日本の全社的改善技法を再評価し,新しい価値創造とその最大化を管理技術競争力とするモデルに基づく調査方式を設計し,日本の100名のパネラへの実態調査結果に基づき以下の事項を明らかにした。
(1)価値創造力、リーダシップ力、経営資源化力および事業プロセス力のいずれにおいても日本は米国にリードされている。欧州に対し優位を保っているのは事業プロセス力である。日本のリーダーシップ力のアジアに対する優位性は僅かである。
(2)価値創造の対象として重用視しているのは顧客、株主、従業員の順である。しかし、顧客価値の競争力はアメリカに、株主価値は米国、欧州の競争力にリードされている。従業員価値は最も日本の競争力が強い。リーダシップ力の構成要素で重要度の高いものはビジネスモデル、革新実践力、創造的組織の順である。しかし、全ての要素の競争力で日本は米国および欧州にリードされている。
(3)経営資源化力の構成要素で重要度の高いものは、人材資源化力、情報資源化力、技術資源化力の順である。これら3つの競争力の内、技術資源化力は米国に次ぐ強さを持っている。
(4)事業プロセス力の構成要素で重要度の高いのはマーケテイング、研究開発、事業開発の順である。生産プロセスの日本の競争力は最も強いが、グローバルプロセス力の対アジアとの差は殆どない。
(5)創造価値の中で重要度の高いのは、信頼性、機能性、社会性・環境性の順である。このうち、上位2つの価値特性と迅速性、利便性、安全性の日本の競争力は最も強い。
(6)価値創造力に対する3つの競争力の寄与率は約74%であり,3つの中では経営資源化力の価値創造力への影響度が最も大きい。

研究成果

• [文献書誌] 石井和克: "新たな価値創造を競争力とする経営モデルの提案-管理システム競争力に関する研究(第2報)-"2001年度日本OR学会秋季研究発表会アブストラクト集. 278-279 (2001)
• [文献書誌] K.ishii, T.Ichimura, S.Kondoh, A.Kameoka, K.Yanagishita: "A Survey on the Competitive Power of the National Management System Approach"The Proceedings of the 16^<th> International Conference on Production Research(CD Version). 1-10 (2001)
• [文献書誌] 石井和克, 関庸一: "管理システムの競争力に関する一考察-新たな価値創造を目指す経営モデル構築に関する研究"日本品質管理学会第67回研究会発表要旨集. 21-24 (2001)
• [文献書誌] K.Ishii, T.Ichimura: "An Analysis of Information Behavior in Quality Management System Design Based on ISO 9000s."Proceedings of ISPIM2001. 85-90 (2001)
• [文献書誌] 上田修, 石井和克: "シルバービジネスに関する研究-高齢者向け食事の宅配サービスを事例として-"平成13年度日本経営工学会春季大会予稿集. 110-111 (2001)
• [文献書誌] 石井和克: "管理システム競争力の原点「標準化と改善」-管理システム競争力に関する研究(第1報)"2001年度日本OR学会春期研究発表会予稿集. 176-177 (2001)
• [文献書誌] K.Ishii, M.Yoshimura: "An Analysis of Information Behavior of Product Development Based on an Environmental Management System ; Ed.Knut Holt and Steinar Ilstad, "Industrial Organization and Business Management""Akademisk Forlag. 206-215(473) (2001)