研究概要 |
1.1999年8月のトルコ・コジャエリ地震と同年9月の台湾・集集地震におけるライフラインの被害試料を収集し,断層を横切る各種ライフラインの被害状況を定量的に分析した.その結果,表層地盤が比較的固い場合には断層変異に伴う地盤変状が狭い範囲に現れており,埋設ライフラインの被害も断層崖周辺に集中していること,しかし表層地盤が軟らかい場合には地盤変状が広範囲に現れ,埋設ライフライン被害も広範囲に及ぶことが明らかとなった. 2.断層運動に伴う数メートルにも及ぶ地盤変位を考慮しなければならない重要度の高いライフラインの種類と大きさを,地震後性能の観点から検討する手法について考究した.これについては次年度に引き継がれる課題である. 3.岩盤での断層運動が地表面の変位となって埋設ライフラインに影響を与える場合の,表層の地盤条件について,模型実験を通して検討した.本年度はテーブルリフトを用いて断層運動を再現し,土槽中の模型地盤に地盤変状を与えることができる実験装置を製作し,予備的な検討を行った.次年度は,表層地盤の厚さと軟らかさをパラメタとした実験を行い考察を深める予定である. 4.個別要素法を用いて断層運動に伴う地表面付近の地盤変状に関する解析を行った.その結果,表層地盤が固い場合は地盤変状が広範囲に及ばないが,表層地面が軟らかい場合は,地盤変状が広範囲に及ぶという基本的な特徴を確認することができた.
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