本年度は、1)斜め衝撃波による超相対論的電子の生成、2)非熱的な相対論的イオンの長時間多段加速、3)多種イオンプラズマにおけるアルヴェン波の伝播、4)電子・陽電子・イオンプラズマにおける直角磁気音波の研究を、理論と計算機シミュレーションにより行った。 1.我々のグループによって発見された「斜め衝撃波による超相対論的電子の生成」について理論的にさらに詳細に調べ、物理的描像と理論的計算方法において大きな進展を見た。理論的結果はシミュレーション結果とよく一致した。 2.斜め衝撃波が、相対論的効果によって、非熱的な高速イオンを非常に長い間捕捉し、多数回加速することを理論的に予言し、計算機シミュレーションによって確認した。ロレンツ因子が4から160に増加する例を論文で報告した。 3.2種類のイオン(と電子)を含むプラズマ中を磁場に平行に進む低周波の波について理論的に調べた。右回りの波は定性的な変更を受けないが、左回りの波は2つのモードに分裂する(重イオンのサイクロトロン振動数の近傍で波の伝播できない領域が現れる)。2つのモードの非線形波動について理論的考察を行った。 4.電子・陽電子・イオンプラズマにおける直角伝播の磁気流体波について、線形分散式を求め、非線形発展方程式を導出した。特に、電子・陽電子プラズマあるいは電子・イオンプラズマにおける波との違いについて詳細に調べた。
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