プラズマ中で重要となる非線形現象と輸送について理論とシミュレーションで研究を行った。成果を箇条書きで示す。 1)空間1次元・速度3次元の相対論的電磁粒子コードとテスト粒子シミュレーションを用いて、斜め衝撃波が非熱的な高速イオンを相対論的効果によって繰り返し加速し、ロレンツ因子が160を超すような超相対論的エネルギーにまで加速することを見出した。これは太陽宇宙線の最高エネルギーをはるかに超えるエネルギーであり、宇宙線生成の機構解明に重要な手掛かりを与えるものである。 2)同じく相対論的電磁粒子コードを用いて、衝撃波による電子の超相対論的エネルギーへの加速を詳細に調べた。我々のシミュレーションでロレンツ因子が200を超える加速が見出されている。これに関連して、斜め衝撃波の構造を理論的に調べた。 3)1次元・full Maxwellの三流体シミュレーションによって、多種イオンプラズマ中を磁場に対して斜めに伝播する電磁流体波を調べ、compressiveだけでなくrarefactiveな非線形パルスでも、多種イオンの存在によって減衰するという新しい波の散逸機構を見出した。 4)3次元の静電的粒子シミュレーションコードを用いて、磁場中の電流不安定性が重イオンへのエネルギー輸送に重要な役割を果たすことを見出し、定量的な議論を展開した。特に、電流が強い場合には、電流不安定性の非線形発展によって^3Heに選択的にエネルギーが輸送されることを明らかにした。
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