「大振幅プラズマ波による超相対論的粒子」について理論とシミュレーションで研究を行い、以下の成果を得た。 1)空間1次元・速度3次元の相対論的電磁粒子コードを用いて、電子、陽電子及びイオンから成る3成分プラズマにおける磁気流体波の伝播と構造、およびそれによって引き起こされる粒子加速を調べた。その結果、斜め衝撃波が陽電子を超相対論的エネルギーにまで加速することを見出した。さらに、その加速機構を明らかにし、定量的理論を提示した。計算機シミュレーションではローレンツ因子が〜1000の陽電子が観測されている。 2)前年度までの研究で、非熱的高速イオンが超相対論的エネルギーに加速されることを見出したが、今年度はこれらの高速イオンの運動をより詳細に理論的に解析し、さらに、多数の高速イオンの振舞いをテスト粒子シミュレーションで調べ、超相対論的エネルギーに加速される粒子の割合を調べた。また、これらの加速される粒子が運動量空間上のある特定の曲線に沿って広がっていくことを観測した。 3)3次元の静電粒子コードを用いて、熱平衡状態において磁場に対して直角方向に伝播するイオンバーンスタイン波のパワースペクトルと自己相関関数を調べ、多種イオンの存在による新たなエネルギー散逸機構を見出した。 4)これらのテーマに関連して、磁気流体波の基礎的性質を詳細に調べた。
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