研究課題/領域番号 |
13680555
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
坂和 洋一 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (70242881)
|
研究分担者 |
荒巻 光利 名古屋大学, 工学研究科, 助手
早坂 和弘 独立行政法人通信総合研究所, 主任研究員
庄司 多津男 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (50115581)
|
キーワード | トロイダルRFトラップ / レーザー冷却 / 一成分プラズマ / 統計力学的特性 |
研究概要 |
本研究は、トーラス型のトロイダルRFトラップ中に閉じこめた多数個イオンのレーザーを用いて冷却を行ない、Γ(=プラズマ粒子間のクーロン相互作用エネルギー/熱運動エネルギー)>1の強結合プラズマを実現し、多数個イオンによる一成分強結合プラズマの特に液体状態における統計力学的特性を明らかにすることを目的としている。レーザー冷却されたイオンの温度を制御し、Γが1より大きい領域でその値を変化させるために、2本の397nm半導体レーザーシステムを用いる。そして、1本目のレーザーでレーザー冷却を行い、2本目のレーザーの誘起蛍光法を用いてΓ>1の領域での速度分布関数や密度分布等の統計力学的特性を詳細に計測し、さらに1本目のレーザーでレーザー冷却を、2本目のレーザーで加熱を行うことにより、Γ>1の領域でのイオン温度制御を行う予定である。 今年度は、冷却用397nmと準安定状態に留まっているイオンを冷却サイクルに戻すための866nmの2つの半導体レーザーの安定化のために、回折格子レーザー安定化システムを構築した。これは、回折格子を用いて半導体レーザーの後面との間で外部キャビティーを構成し、回折格子からのフィードバックを利用した回折格子レーザー安定化システムである。これにより、半導体レーザーの周波数、強度、およびポインティングの安定化を達成することができた。さらに、従来は半導体レーザーの温度と電流のみで行なっていた周波数制御を、回折格子の角度を変えて行なうことが可能となり、イオンのレーザー冷却に必要な広い領域に渡っての安定な周波数掃引が可能となった。ヘリウムガスのバッファガス冷却によってイオン温度を制御し、このレーザーを用いたレーザー誘起蛍光法によって閉じこめ時間、イオン温度、速度分布関数、密度分布等を計測することができた。現在、同様のシステムを有するもう1本の397nm半導体レーザーシステムを新たに作成している。
|