研究概要 |
磁場中のプラズマ乱流では、非等方逆カスケードによりゾーナル流が自己組織化されることが見出されて以来(A.Hasegawa and M.Wakatani, PRL59(1987)1581)。ゾーナル流と乱流輸送の関連についての研究が世界的に進められてきた。その後、逆磁気シアートカマクにおけるETG(電子温度勾配駆動型ドリフト波)乱流をジャイロ運動論粒子シミュレーションにより調べた結果、磁気シアーがゾーナル流の形成において、ケルビン・ヘルムホルツ不安定性の安定化を通して寄与することを見出した。(Y.Idomura, M.Wakatani and S.Tokuda, 7(2000)3551)。これらは静電的乱流によるゾーナル流の形成過程の研究であったが、今年の研究では、電磁的乱流がどのようなゾーナル流を生成するかを中心に調べた。電磁的不安定性としては、抵抗性ドリフトアルベン波に注目した。この不安定性は抵抗性ドリフト波とシアーアルベン波が同じ周波数になる場合に発生する。抵抗性ドリフトアルベン波による磁気揺動エネルギーは運動エネルギーに比して無視できるレベルであるが、マクスウェル応力としてはレイノルズ応力を抑制する方向に作用し、ポロイダルシアー流の形成を妨げることが示された。一方、MHDモードである抵抗性壁モードの非線形発展がプラズマ回転に与える影響にも注目した。プラズマのポロイダル回転は、抵抗性壁モードの成長率を下げる安定化効果を持っている。しかし、抵抗壁がプラズマに近くてしかも成長率が有限であれば、磁気揺動によるマクスウェル応力がポロイダル流を減衰させ、流速は有理面近傍ではほとんど零になる。このような場合には、非線形飽和レベルはプラズマ回転がない場合とほとんど同じである。一方、プラズマ回転の減少が大きくない場合には、飽和時のプラズマ流速の程度に応じて安定化効果は残る。
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