トカマクをはじめとする磁気閉じ込め核融合装置では、プラズマ乱流によって誘起される熱や粒子の異常輸送が大きな問題である。特に、これらの装置の高閉じ込めモードでは、ゾーナル流のようなプラズマの流れによって乱流が抑制されていることが知られており、乱流とプラズマ流との関係を解明することが、異常輸送の制御上、極めて重要である。本研究は、電磁的乱流がケルビン・ヘルムホルツ不安定性の安定化を通してどのようにゾーナル流形成に寄与するかを解明することを目的とする。平成13年度は、電磁的乱流として、抵抗性ドリフトアルベン波と抵抗性壁モードに注目し、その非線形数値シミュレーションを行った。抵抗性ドリフトアルベン波による磁気揺動エネルギーは運動エネルギーに比して無視できるレベルであるが、マクスウェル応力としてはレイノルズ応力を抑制する方向に作用し、ポロイダルシアー流の形成を妨げることが示された。また、抵抗壁がプラズマに近くて抵抗性壁モードの成長率が有限であれば、磁気揺動によるマクスウェル応力がポロイダル流を減衰させ、流速は有理面近傍ではほとんど零になることを見出した。平成14年度は、更に、圧力駆動型モードのひとつである抵抗性インターチェンジモード(RIM)に注目し、数値シミュレーションを用いて、以下の結果を得た。1)プラズマ中に二つの共鳴面ができる(二重共鳴となる)場合は、揺動により形成されるポロイダルシアー流はモード共鳴面と回転変換の極小となる位置に形成され、非共鳴条件では、回転変換が極小となる位置に形成される。2)共鳴面がひとつの場合は、RIMの非線形相互作用が有理面近傍の密度分布に平坦または逆勾配の局所構造を形成し、高βプラズマでも安定な密度分布を実現することを確認した。3)さらに揺動により形成されるポロイダルシアー流が、同構造の局所性を高めている。
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