研究概要 |
近年のレーザ技術の進歩により,短パルス超高強度レーザーと物質との相互作用に関する研究が盛んになってきた.超高強度レーザー生成プラズマにおいてはレーザーエネルギーの多くが高速電子に変換されるため,これまで以上に多くの硬X線(10keV以上)が生成される.従って,超高強度レーザープラズマの相互作用においては硬X線(10keV以上)の画像計測が必要不可欠である.これまでの研究で硬X線の画像計測には半影カメラが有効であることが分かってきたが,画像を再生する必要があり,半影像に含まれるノイズに極めて敏感である.また,半影カメラ自身は深さ方向の分解能を持っておらず,三次元情報を得ることができない. 本年度の研究では,硬X線の三次元画像計測を目指し,上記の二つの欠点を克服するための研究開発を行ってきた.以下の二つの成果を挙げることができた. (1)ヒューリスティック手法による半影像の再生法を提案し,実際のレーザープラズマX線計測に適用したところ,非常に低いSN比の半影像に対しても高精度な再生像を得ることができた.従来,SN比を高めるために空間的に画像を積分して再生を行っているが,本提案法を適用することによって空間的な積分が不要となり,2次元画像の再生や時間分解画像の再生にも適用することができる.硬X線画像計測において画期的な成果といえる. (2)深さ方向の分解能を得るために複数の開口をm-系列に沿った2次元的に配置し,立体角を大きくすることによって1方向でも深さ方向の分解能を得ることができるようになった.硬X線三次元画像計測が可能となった. 来年度は今年度の成果を踏まえ,3次元画像計測手法を確立していく予定である.
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