研究課題/領域番号 |
13680564
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
中村 圭二 中部大学, 工学部, 助教授 (20227888)
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研究分担者 |
菅井 秀郎 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40005517)
池澤 俊治郎 中部大学, 工学部, 教授 (60065282)
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キーワード | プラズマイオン注入 / 二次電子 / 二次電子放出率 / 注入深さ / 表面モニタ / 半導体検出器 |
研究概要 |
近年の半導体デバイスにおいて、パターンサイズは0.1μmを切ると同時に、12インチ大口径ウェハーなどによる低コスト化や高スループット化も同時に図られているが、不純物注入プロセスはそれらの動向に必ずしも十分に対応できていない。それを打破する一つの方法としてにプラズマイオン注入法が提案されているが、プラズマの診断法やイオン注入面のその場計測技術が不十分であったことに加え、プラズマにさらされたウェハーや基材にはイオンの他に反応性の高い中性ラジカルも同時に入射して、ビーム法に比べてイオン注入プロセスが複雑であるため、そこでの不純物注入メカニズムはあまり理解されておらず、プロセス制御性も不十分と言われている。本研究ではプラズマイオン注入時のイオン入射フラックスおよび注入ドーズ量をIn-situで調べ、実際にドープされた不純物の深さ分布などの測定結果と併せて総合的に検討することにより、イオン注入におけるイオンなどの活性粒子の役割を明らかにして、本手法をベースとした大面積・高スループット不純物注入プロセスの高度化に資する基礎データを取得する。ここでは主に、プラズマイオン注入における二次電子放出の観点からの検討を進めた。 まず連続放電において放電パワーを変化させながら二次電子放出係数を測定したところ、放電パワーとともに二次電子放出係数は大きくなることがわかった。二次電子放出係数はイオンフラツクスで規格化された値なので、イオン密度に比例する放電パワーに依存しないはずであるが、本実験により、プラズマイオン注入では二次電子放出にイオン衝撃以外の効果が含まれることを示した。 そのことを検討するために、放電をパルス放電に切り替えて二次電子放出係数の時間分解計測を行った。放電がオンからオフに切り替わるとき、イオン密度は連続的に緩やかに時間変化するものの、二次電子放出係数は放電がオフになった直後に50%以上急激に低下した。このとき同時に真空紫外光の時間変化を調べたところ、極めて二次電子放出係数と対応した変化を示し、また真空紫外光強度がゼロのときの二次電子放出係数を推定できたことから、プラズマイオン注入における二次電子放出係数の内、イオン衝撃による成分と真空紫外光による成分とに分離できることがわかった。 このように、プラズマイオン注入においてターゲツトの電流に少なからず含まれる二次電子電流は、パルス放電のアフターグローに高電圧パルスを印加すると低減できることから、放電のパルス化は、高電圧パルス電源の電流容量を小さくでき、システム全体の低コスト化に有効であることがわかった。
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