研究課題/領域番号 |
13680565
|
研究機関 | 文部科学省核融合科学研究所 |
研究代表者 |
井口 春和 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助教授 (40115522)
|
研究分担者 |
藤沢 彰英 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助教授 (60222262)
|
キーワード | 重イオンビームプローブ / 簡約MHD方程式 / 流れ関数 / ポロイダル磁束関数 / スカラーポテンシャル / ベクトルポテンシャル / MHD揺動 / 角運動量保存 |
研究概要 |
磁場閉じ込め核融合研究におけるMHD不安定の理論解析の手法としてMHD方程式群を簡約化して2次元描像の上で解析する簡約MHD方程式系が、解析的手法においても計算機シミュレーションにおいても強力なツールとして利用されるようになっている。この方程式系においては流れ関数(Φ)とポロイダル磁束関数(Ψ)が不安定モードの固有関数になっている。ところで、トカマクのような軸対称トーラスにおける重イオンビームプローブ(HIBP)計測では、ビームイオンのエネルギー保存則および角運動量保存則を通じて、観測量がこれら二つの固有関数と直接結びついている。ここで対応する二つの観測量はスカラーポテンシャル(Φ)とベクトルポテンシャルのトロイダル成分(A_ζ)である。これまでのHIBPでは、Φの計測に威力を発揮してきたが、A_ζの計測が行われた例はまれである。それは、この測定においては測定量がビームに沿っての経路積分になり、測定値に関して局所性が保証されないという難点があるからである。 本研究の課題は、どのような条件ならばA_ζ計測の局所性が回復できるかを明らかにし、簡約MHD方程式による解析と実験研究のより直接的な統合をめざすものである。研究手法としては、モデルMHD揺動を仮定し、観測されるビームのトロイダル変位の揺動を軌道解析によって調べるという方法を採った。これまでに得られた主な結果は、(1)MHD揺動が中心部に局在する場合は測定の局所性がよい。(2)MHD揺動が周辺部に局在する場合には中心付近に擬似信号が現れる。(3)ビーム源、検出器をトーラスから離すと測定の局所性が向上する。 これらの結果により、軸対称系トーラスにおいては機器の配置と適用範囲に注意すれば、幅広い条件で局所性のよい測定が可能であることが示された。今後の課題は、検討対象をトロイダル角運動量保存則が使えないヘリカル系などの非軸対称系トーラスへ拡張することである。
|