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2002 年度 実績報告書

磁気多極型イオン源における負イオン生成過程に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 13680568
研究機関大阪大学

研究代表者

宮本 斉児  大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50294046)

研究分担者 飯田 敏行  大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60115988)
井上 正二  大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10203233)
堀池 寛  大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20252611)
キーワード磁気多極型イオン源 / 負イオン / NBI / 電子エネルギー分布関数 / 磁気フィルター / アーク放電 / フィラメント材 / アルゴンガス混合
研究概要

本研究は、磁気多極型イオン源内の電子温度分布を制御し、負イオンの生成に最適な条件を見出すことを目的としている。これまでの研究から、イオン源壁の磁場を一次電子の捕捉に利用することで、密度を低下させること無く引き出し面近傍の電子温度を低下させられることが分かっている。また、このようなプラズマに更に磁気フィルターを追加することも、負イオンの引き出しに効果的であることが確かめられている。
水素負イオンは水素の振動励起分子を経て生成されるが、本年度はフィラメント材料にTaを用い振動励起分子の増加を狙った実験を行った。フィラメント材はアーク放電によって徐々に蒸発し、イオン源壁面をコーティングするが、その触媒作用によって振動励起分子が増加すると考えられる。実験の結果、動作ガス圧が高い状態では一次電子との衝突による振動励起分子の生成が主であり、Taにしたことによる効果は見られなかったが、低ガス圧ではWフィラメントと比べ負イオン引き出し電流に数割の上昇が見られた。核融合NBIのイオン源としては動作ガス圧が低いほうが良く、これは望ましい結果といえる。ただし、Taフィラメントは温度上昇により変形しやすく、大電流動作が難しいことが欠点であり、今後の改善が望まれる。
振動励起分子を増加させる他に、低エネルギーの電子を多量に供給することも負イオンの生成に効果がある。核融合用NBI装置ではCsの添加が用いられるが、それよりはずっと取り扱いの容易なArガスを用いて実験を行った。Arの混合割合は10%以下と少量で有ったにも係らず、電子密度の著しい増加が見られた。しかし、電子温度も同時に上昇してしまうために、負イオンの引き出し量は逆に減少することが分かった。ただし、引き出し電極を静電的に正にバイアスした時には、負イオン電流の増加が見られ、条件によってはAr添加が効果的であるといえる。
平成13、14年度の研究から、引き出し電極近傍の電子温度を制御することが重要であることが結論できるが、この目的には、引き出し電極に電流を流し磁気フィルターとして利用するのが理にかなっている(PGフィルター)。磁場可変のコイル型磁気フィルターを用いて実験を行った結果から、必要な磁場は電極前面で100G程度であり、この結果を用いてPGフィルターを設計した。また、静電プローブにより電子のエネルギー分布関数を測定する手法を開発し、計算機シミュレーションでしか得られなかった一次電子の分布を実際に確認する目処が立った。本研究で得られた成果は、負イオン源の設計・開発の有用な指針と成り得る。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] T.Kosaka, H.Yamashita, T.Ogata, S.Miyamoto, S.Inoue, H.Horiike: "Heat Flux to Cusps and Discharge Paths in a Bucket Source"25^<th> International Conference on Phenomena in Ionized Gases. Vol.1. 349-350 (2001)

  • [文献書誌] T.Kosaka, H.Yamashita, S.Miyamoto, S.Inoue, H.Horiike: "Discharge Gharacteristics and H-Production in a Bucket Ion Source"Review of Scientific Instruments. Vol.73・No.2. 961-963 (2001)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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