圧力駆動型モードの非線型挙動を調べるために開発してきた電磁流体力学数値計算コード、NORMを用いた計算を継続している。今年度の研究では、昨年度の研究で得られた結果を次の二つの観点から発展させた。 一つめは、より高ベータ値での圧力駆動型モードによる圧力分布の構造変化の吟味である昨年度の研究では、圧力分布を固定したままベータ値が上昇すると、個々のモードの渦のオーバーラップによって運動エネルギーがバースト的振舞いを示し、その際に中心領域の圧力が瞬時に大きく減少することを得た。一方、低ベータにおいて緩やかに飽和した圧力分布を用いてベータ値を上昇させると、このバースト的振舞いが抑制されることも得られていた。したがって、このような圧力分布の連続的な自己組織化が、大型ヘリカル装置実験で得られている安定な高ベータプラズマ達成の主要メカニズムであると考えた。今年度は、この考えをさらに検証するために、同様の手法を用いてさらに高いベータ値の計算を行った。この際に、乱流理論から予測される粘性及び熱伝導の増加の効果も取り入れた。その結果、圧力分布を逐次的に変化させることによって、より高いベータ値でもバースト的な振舞いが抑制されることが確認された。また、このときのベータ値に対する大局的な圧力分布の変化の傾向が、実験結果ともよく一致している。以上の結果は、第14回国際ステラレータワークショップの招待講演として報告した。 二つめは、交換型モードの非線型飽和時における磁気島形成メカニズムの探求である。抵抗性交換型モードの非線型発展においては、線型領域において非常に薄い磁気島が形成される。このとき、磁気島の数は支配的な交換型モードのポロイダルモード数と一致する。しかし、非線型領域では、この磁気島の0-PointがX-Pointに変化し、磁気島の数が2倍になることが得られた。この新たなX-pointの位置では、交換型モードによって動径方向の流れが駆動されているため、駆動型磁気リコネクションが生じているものと予想された。しかし、この点における電流集中が見られないため、従来の理論では説明できない。そこで、摂動ポロイダルフラックスの振舞いに着目してみたところ、この等値面の構造が変化することによって動径方向の磁場成分が変化し、それによって磁気島構造が変化することがわかった。以上の結果は、IAEA Technical Meeting on Innovative Concepts and Theory of Stellaratorsならびに第13回国際土岐コンファレンスにおいて報告した。
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