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2002 年度 実績報告書

大型超伝導導体における長時定数交流損失の発生メカニズムの解明と対策

研究課題

研究課題/領域番号 13680578
研究機関山口大学

研究代表者

浜島 高太郎  山口大学, 工学部, 教授 (00314815)

研究分担者 津田 理  山口大学, 工学部, 助手 (10267411)
原田 直幸  山口大学, 工学部, 助教授 (00222232)
キーワード交流損失 / 不規則結合損失 / ケーブル・イン・コンジット(CIC)導体 / サブ・ケーブル / 長時定数 / 撚り乱れ / 接触抵抗 / 素線配置
研究概要

核融合装置などの大型装置に用いられるケーブル・イン・コンジット(CIC)超伝導導体では,通常の規則的な交流損失のほかに,数秒から100秒程度の時定数で,平均的に数10秒程度の長時定数を持つ不規則なループによる交流損失が存在していることが確かめられた。これらのループはCIC導体の構成に密接に関係していることが分かってきた。特に,導体の素線の軌道配置は導体の各サブケーブルの撚りピッチの最小公倍数の長さで,同じパターンが繰り返されるため,ある点で接触した素線は,最小公倍数の長さで再度接触して長いループを構成する。これらのループは,比較的長い距離を持ち,インダクタンスも比較的大きくなる。これらのループの基本的な時定数はインダクタンスとループを構成する接触抵抗の比で表される。
実際に使用したCIC導体の素線間の接触抵抗を測定した結果,点接触抵抗は約100μΩ程度であった。一方,CIC内の長ループのインダクタンスは10μH程度であるので,ループ時定数は約0.1秒程度になる。これらは観測された数10秒より短い。この原因として,素線間の接触半径が10μm程度の点接触状態の抵抗値のためと考えられる。
素線間の接触状態を観測するために,各素線の導体内の配置を調査した。その結果,本来3本の素線が撚られて一体化していると予想された1次撚り線は,実際には,本来の位置から大きく変位している状態のものがあることを観測した。定量的に検討するために,1次撚り線の中の1本が大きく変位している数を調べ,約10%程度存在することが分かった。この大変位した素線は,一般的に1m程度離れた位置では,一体化された1次撚りとなって観測される。このような大変位した素線はループを構成する他の素線と,点接触でなく長距離にわたる線接触の状態を形成すると推定される。接触長が10mm程度あると,点接触の約1,000倍となり,接触抵抗は大幅に小さくなり,時定数が100秒程度になる。したがって,これらが長時定数の発生する主要な原因と考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T.Hamajima, et al.: "Long time constants of irregular AC coupling losses in a Large superconducting coil"IEEE Transactions on Applied Superconductivity. 12.1. 1616-1619 (2002)

  • [文献書誌] 浜島高太郎, 他: "大型CICCの長時定数交流損失のメカニズム"平成14年電気学会全国大会講演論文集. 5. 78 (2002)

  • [文献書誌] 角正陽平, 他: "CIC導体の不規則交流損失について1"第67回秋季低温工学・超電導学会講演概要集. 1. 156 (2002)

  • [文献書誌] 帆足和也, 他: "大型CIC超電導導体の断面内素線配置と長時定数ループに関する研究"第4回1EEE広島支部学生シンポジウム論文集. 1. 12-13 (2002)

  • [文献書誌] 帆足和也, 他: "大型ケーブル・イン・コンジット(CIC)超電導導体における長時定数結合損失"平成14年度電気・情報関連学会中国支部第53回連合大会講演論文集. 1. 105 (2002)

  • [文献書誌] 浜島高太郎他: "大型CIC超電導導体の長ループと結合損失について"第66回春季低温工学・超電導学会講演概要集. 1. 149 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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