1.地球温暖化問題が、地球規模変動研究の中にどう位置付け、相対化されるか、という問題設定を行い、そのベースとなる米国での地球規模変動研究法の成立とその後の展開のプロセスを分析した。 2.科学と政策の相互構築プロセスとしては、唱道連携モデルと言説連携モデルをとり上げ、科学的内容や政策的方向が不確実の場合、唱道連携モデルが適用できることを示した。 3.米国の「地球規模変動研究法」の成立プロセスにおける2つの源泉となる科学面からの言説が、いかに相互作用を繰り返しながら一つにまとまっていくかを明らかにした。 4.一方、政策的には温暖化問題の国際化など杜会的な要請が、科学上の不確実な状況に対する研究の必要領域といかに相互作用をするか、議会での討議、そして研究機関間における研究領域調整のプロセスの中で枠組みの出来ていくことを明らかにした。 5.国際的な議論の中には、現実的にすでに大きな地球規模変動を人間活動が引き起こしている。という認識が示されており、特に土地利用改変など地球生態系の変動とその帰趨が長期の温暖化問題の方向をも変えていくことを示した。 6.これらの課題は、地球規模変動を自然と社会の相関(それぞれの概念がいかに科学技術の展開と共に変化しているかを含め)の中に見ていくことが、そしてこれら関係の再構築を図ることが必要なことを取りまとめた。その一つの方向が、持続性科学の発展である。
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