研究概要 |
アルカリ金属熱電変換(AMTEC)のカソード側電極に関して,微細電流リード構造を導入し性能向上を図ることが本研究の目的である.本年度の研究結果として,(1)Arレーザを用いた熱CVD法(反応ガスMo(CO)_6)により,幅数10〜100μmのMo微細リード構造を作製した,(2)体積抵抗率の測定結果はバルク値と比較して4〜6倍(20〜30μΩcm)であった,(3)実際のAMTEC電極としての性能を評価するために気相電極評価装置を製作した,(4)リード構造のパターンに関する解析モデルを作成した,等である.本年度作製したリード構造の抵抗値は比較的高く,電極の高性能化のためには今後バルク値の3倍程度以下に抵抗値を減らす必要がある.そのため成膜速度・入力光強度・ガス圧力などの条件を変化させる実験が必要である.また下地となる薄膜電極(厚さ3μm,粒径数μm程度)との間の接触抵抗の影響が大きくなることが予想できる.これらの影響を考察する手法として,(3)の気相電極評価装置が有効と考えられ新たに導入することとした.本年度は測定装置の準備を行った.この測定方法は通常のAMTEC発電モードと異なり,固体電解質のカソード・アノード側の両電極をNa低圧側とし,外部から電極部に電圧を印加して測定する方法である.(4)の解析手法は,Na蒸気圧力損失・集電抵抗等を含めた電極部の性能モデル化である.AMTECのカソード側電極は低圧側に位置するため蒸気移動抵抗の全体性能に与える影響は大きいが,分極抵抗の影響は比較的小さくなる結果が得られた.実験結果と解析モデルの両面より考察することにより,AMTECカソード側電極部の高性能化が可能である指針が得られたといえる.
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