研究概要 |
今年度は装置のシステム化を行い,その有効性を原子炉を用いた実験によって確認する計画であった。 (1)装置のシステム化 システム化の課題は,次の2つを並列して実行するリアルタイム処理である。即ち,γ線検出パルス信号の時系列データから個々のパルスの検出時刻とγ線エネルギーについての情報を測定して記録する処理,そしてこの時系列データをFeynman-α法もしくはRossi-α法を使って解析する処理である。2台のコンピュータを使って測定と解析を行う方法など複数の方法を試みた結果,我々のデータ処理ではマルチスレッドを使った並列処理が効率的であった。放射線の測定データを蓄積しながら逐次データ解析を行うシステムはこの方式を使って構成可能となった。 (2)近畿大学原子炉を用いた実験 原子炉外側でγ線を測定し解析する実験で,上記の方式の有効性が確認できた。臨界安全性のためのアルタイムモニタに使う解析法としては,検出信号相互の「相関判定の容易性」の点でRossi-α法が優れている結果が得られた。また,この原子炉においては,炉外側面に比べ炉上部からの漏洩γ線は相関の感度が大きい。 なお,原子燃料を扱う施設の監視システムへの適応について実用性の観点から検討することも課題であった。マイコンで制御する小型分析回路に(1)で有効性が確認できた手法を取り入れて試作し,原子炉で試験を行い,その結果を実用システムへの提言とした。
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