光ファイバースペクトロメーターを用い、大気エアロゾルをサンプリングしながらエアロゾルが堆積したフィルターの透過光を測定する装置を作製した。この装置の評価をおこなうために、これまで吸収係数測定に用いてきたParticle Soot/Absorption Photometer(PSAP)を同時に稼動させた。PSAPは波長565nmでの吸収係数を与えるが、本装置の同一波長領域における吸収係数の時間変動はPSAPのものと一致しており、本装置により吸収係数の測定が可能であることがわかった。また、本装置では350〜1000nmまでの広い波長領域での吸収係数測定が可能であった。 硫酸アンモニウム、塩化ナトリウムなどの水溶液噴霧により大気中にも存在しているエアロゾル粒子を人為的に発生させ、測定をおこなったところ550nm付近にピークを持つ吸収スペクトルが得られた。どちらの塩とも可視領域に吸収を持たず無色透明であるにもかかわらず吸収スペクトルを与えたのは、この装置がフィルターの透過光を測定しているため、反射によって減少した透過光をも吸収として表現しているためと考えられる。これらの塩が与えるスペクトルは大気エアロゾルの吸収スペクトルに比べピークが鋭く、ピーク波長もシフトしていた。 室内エアロゾルをサンプリングしながら一時的にこれらの塩を発生させるとスペクトルの変化が見られた。このことはエアロゾル中の成分の違いが光学的に検出可能であることを意味しており、時間分解能の高い光学的情報から成分に関する情報を得ることが可能であることが示唆された。
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