研究概要 |
北海道利尻島、長野県菅平高原根子岳、鹿児島県屋久島の標高を異にする研究地点を対象として、その地点の土壌調査と代表的土壌断面の選定、層位別の土壌試料の採取、並びに採取した土壌の一般理化学性の分析、土壌有機物の分析を行なった。 標高別の地点は、利尻島では、標高20m付近のチシマザサ草原、標高50m付近のエゾマツ・トドマツ林、標高500m及び1200mのハイマツ林を、菅平高原の根子岳では、標高1600m、1900mのダケカンバ林及び2100mのシラビソ林を、さらに屋久島では、標高720mのウラジロカシ林、から宮之浦岳(標高1920m)にかけての森林土壌及びヤクシマダケ草原において土壌調査を行なった。代表的な断面を選定し、層位ごとに土壌試料を採取した。さらに、自記温度計を地中に設置し、地温の観測を開始した。 利尻島に分布する土壌の特徴は以下のとおりであった。標高が低いところでは、黒ぼく土が分布していた。標高500m以上のササ草原では多腐植質褐色森林土が見られ、ハイマツ低木林下にはポドゾルないし、高山草原土が観察された。屋久島に分布する火山灰土壌の土壌断面形態的特徴は以下のとおりであった。小瀬田(標高70m)の土壌は、黒ぼく質A層が存在することから,日本の統一的土壌分類体系第一次案では、典型的黒ぼく土に分類された.安房川右岸(標高160m)の土壌とモッチョム岳(標高720m)の土壌は黄褐色森林土的断面形態を有していた.淀川小屋(1425m)の土壌は,A層土壌のリン酸吸収係数が1,500以下(Bw層は1,640)であったが、火山灰を母材とした酸性褐色森林土であると思われた.宮之浦岳(1920m)の土壌は,黒色味が薄いが,厚いA層を持っていたため,亜高山草原土(加藤,1966)類似の土壌であると思われた.
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