研究概要 |
昨年度に基礎的検討を行った長光路キャピラリーフローセル(LWCC=Liquid waveguide capillary flow cell)を用いた高感度比色分析法について,安定した吸光度計測を行うための試料導入方法やブランク値の検討を継続した。また昨年度来検討しているリン酸塩(SRP)濃度の測定に加えて,硝酸塩(+亜硝酸塩)濃度の測定への適用について検討した。その結果,硝酸塩についても化学発光検出器を用いた高感度分析と同程度の感度で分析可能であることが確かめられた。リン酸塩および硝酸塩の双方について,本研究の長光路キャピラリーフローセルを用いた比色分析法によって亜熱帯成層海域表層の濃度レベルにおける高感度分析が実用可能と判断できた。この結果を踏まえて,より実用的な自動分析システムである空気分節型連続フロー比色分析システム(いわゆるオートアナライザー)との組み合わせについて検討した。連続フロー比色分析システムからキャピラリーフローセルに試料を導入する部分について試作・検討し,実際にオートアナライザーと組み合わせた高感度分析システムを構築した。これらの高感度分析システムの検討と平行して,今年度実施された東京水産大学研究練習船の航海のうち,以下の航程に乗船した。これらの航海ではCTD-オクトパスシステムによる海洋観測を実施すると共に,硝酸塩・リン酸塩の同時鉛直微細分布計測のための試料海水を採取した。1)7月12日〜19日,海鷹丸(東京〜長崎間),2)12月3日〜11日,海鷹丸(東京〜バンコク),3)3月10日〜17日,神鷹丸,(パラオ〜東京)。
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