研究課題/領域番号 |
13680601
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長田 和雄 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (80252295)
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研究分担者 |
柴田 隆 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (70167443)
岩坂 泰信 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (20022709)
松永 捷司 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (60022729)
吉岡 勝廣 島根県保健環境科学研究所, 主任研究員
塩原 匡貴 国立極地研究所, 南極圏環境モニタリングセンター, 助教授 (60291887)
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キーワード | 大気化学 / 山岳大気 / 大気エアロゾル / 自由対流圏 / 汚染物質 / 長距離輸送 / 越境汚染 / 火山噴煙 |
研究概要 |
本研究では「山岳ポンプ効果」の様相を明らかにするために、中部山岳地帯の乗鞍岳をモデルに現地観測を行った。現地観測は東京大学・宇宙線研究所乗鞍観測所(標高2770m)で行い、山岳地表付近の大気エアロゾルの直接観測(SMPSやレーザーパーティクルカウンターなど)と、空気塊の起源に関わる指標としてオゾン濃度や露点温度、地殻起源物質の指標としてラドン濃度の連続観測、さらに山岳上空でのエアロゾル量の見積もりにスカイラジオメーターとシーロメーターによる観測を行った。また、大気エアロゾルの起源を推定するためのエアロゾル化学分析用の粒径別大気エアロゾルサンプリングも行い、山岳ポンプで輸送されるエアロゾルの質的な日変化についても明らかにした。 その結果、夏季の山岳大気境界層がよく発達した条件下では、観測所の1km程度上空(高度約4km)まで高濃度な汚染物質が持ち上げられていることがわかった。夜間/日中のエアロゾル濃度比は約一桁程度なので、夏の中部山岳地帯は自由対流圏中の濃度よりも約10倍高い汚染空気をポンプアップしていると考えられる。典型的な夏季の太平洋高気圧勢力下では、南東からの気流が弧を描き、中部山岳地帯から再び北部太平洋へと戻って行くが、場合によってはロシア方面へと移流する事例も見うけられた。このように、山岳ポンプで持ち上げられた日本の汚染物質は、主として偏西風によって太平洋域へ流出すると考えられるが、夏季にはロシア東部などへも影響を及ぼす可能性のあることがわかった。
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