研究概要 |
大気中における光化学反応で非常に重要な役割を果たしていると考えられているHONOについて,その生成過程と凝縮相における分解過程を解明することを本研究の目的としている。その目的を果たすためには,現在確立されているHONOの分析法では非常に難しい。そこで今年度は,HONOの迅速で高感度な分析法の確立を第1の目的として研究を行った。その結果,フローインジェクション方式によりNO_2など他の気体成分による妨害を全く受けず,分析時間5分で40ppt以上のHONOを測定する方法を確立することが出来た。現在,その論文の作成中である。この方法は連続流れ系に変更することで,1分以下の時間分解能が可能であると思われる。本方法を用いて,発生源等の研究に応用できるものと期待される。また,本法を用いて実大気を測定し,HONOが自動車排ガス起源である可能性が示唆された。また,条件によってはNO_2の不均一反応によるHONO生成と考えられる場合もあり,更に詳しく調べる必要がある。 また,分析法の開発と平衡して,拡散デニューダーを用いた長時間サンプリングを週に1日づつ,1年を通して測定を行った。その結果,これまで昼にはほとんど存在しないと言われていたHONOが夏の日中でも数ppbの濃度で存在することが分かった。また,露中の亜硝酸濃度が10月よりも11月や12月に高くなるのに対し,気相中ではほとんど同レベルで存在していることから,気温の高いときの露中での亜硝酸の分解反応の関与が示唆された。14年度は,以上のことをふまえさらに詳細に研究を行う予定である。
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