平成14年度は平成13年度に行った室内降雨実験のデータ解析((1))および二層構造をもつ土槽を用いた室内降雨実験((2))を行った。 (1)豊浦標準砂を充填した幅1m、長さ3m、深さ0.6mの砂箱内に地下水面を深さ0.55mに設定し、砂箱の3分の1の部分に直径2mmを中心とするマクロポア125本を人工的に形成した。この部分のマクロポアの体積率は0.073%となり、残りの部分のマクロポアの体積率は0%である。簡易降水装置で降水量4mm、5.6mm、6.8mm、13.0mm、26.mmに相当する散水を、総雨量が40mmを越すまで、同一降雨強度で数日おきに繰り返し、各降水イベントに対応した圧力水頭変化とトレーサ(1000mg/lの塩素イオンと硝酸イオン溶液)の動きをマクロポアのある部分と無い部分で測定した。実験の結果、地中におけるマクロポア流に起因する素早い水分増加は地表面が飽和しない中程度の降水強度の場合に最も顕著に認められることがわかった。平均物質濃度プロファイルは26mm降水を除く全ての降雨強度、総降水量において常に地表面近くに最大濃度が位置し、深さとともに濃度が低下するという形状をもつことがわかった。マクロポアを有する多孔体では地下水面直上の深度までマクロポアの無い多孔体より高い物質濃度を持ち、マクロポアがより多くの物質を地下水へ浸透させる役割を果たしていた。本実験条件内では26mm降水の場合のみに、総降水量の増加と共にピーク濃度の深度が下がるピストン流型の物質浸透が認められた。 (2)本年度は実際の畑地を想定した上層20cmに土壌、下部に細砂を充填した2層構造をもつ土槽をもちいてマクロポアと降水強度が水および物質移動に与える影響を明らかにすることを目的とした室内実験を行った。実験は3月末に終了し、データの整理・解析を現在進めている。
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