研究課題
基盤研究(C)
近年、農業活動に起因する硝酸態窒素および亜硝酸態窒素による地下水汚染は、飲料水基準の項目別超過率としては最も高くなっており深刻さを増している。窒素肥料や畜産排水などとして地表近くからアンモニア態窒素などの形で地中に入った窒素はその形態を硝酸態窒素に変化させながら土壌水とともに浸透して地下水へ到達する。地表面から地下水面までの浸透プロセスは、物質を輸送する水の供給源である降水の時空間的不均一性、および多孔体の不均質性のため複雑で予測が非常に困難である。本研究では、不均質場における硝酸態窒素の浸透プロセスを明らかにすることを目的とし、室内降水・蒸発-浸透実験、野外観測およびシミュレーションをおこなった。畑地での野外観測では常に地表面近くに硝酸態窒素の最大濃度があり深度とともに濃度が減衰すること、河川への窒素流出はスポット的に生じていることが明らかとなり、地層中に数多く認められたマクロポアの影響が示唆された。マクロポアを有する媒体を用いた室内実験では降水量・降水強度・先行土壌水分量およびマクロポア径が物質浸透に及ぼす影響を調査した。マクロポア流による早い浸透が生じる場合でも、26mm未満の降水では地表面付近のマトリックス中に高濃度の硝酸態窒素が残留すること、降水強度はマクロポア流の発生に影響することなどが確かめられた。マクロポアは強い降水下では硝酸態窒素の早い浸透、弱い降水を含むすべての降水下で大きな分散に寄与することがわかった。また、無降水時における蒸発量は物質浸透と分布に大きな影響をもち、不均質な地表面からは粗度分布により蒸発速度が異なることが明らかとなった。マクロポア流を考慮した数値モデルでは定性的な物質浸透プロファイルは再現できたが、定量的な精度が不十分で、現在モデリングを継続している。
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