本研究は10km×10kmスケールの複雑地形の場における、大気の平均流や乱流場および大気汚染物質濃度を予測するモデルを開発することが目的である。 複雑地形の場として京都市北部の山岳地帯を選定し、現在までに以下の各種乱流モデルを適用してその相互比較を行い、ほぼその特徴をつかむことができた。 <取り上げた乱流モデル> (1)Mellor-Yamadaレベル2.5モデル、2種類 このモデルの中で乱れの長さスケールlの求め方2種を用いる (2)k〜εモデル、2種類 一つは単純k〜εモデルと呼ばれる最も一般的に流体エンジニアリングで用いられているモデルと、より高度なk〜ε代数応力モデル 以上合計4種類について、オーストラリアのワンガラで行われた観測値を検証用データとして相互比較した。さらに、3次元流れ場として上述の京都市北部に各モデルを適用し、ごみ焼却場を想定した点汚染源からの汚染物濃度を計算した。とくに代数応力モデルでは、その乱流成分を予測しうるという特長から、ラグランジ粒子モデルによる濃度予測も試みた。 また本研究の過程において、複雑地形においては朝夕の太陽高度が低い場合、山による日影により地表の暖められ方が場所によって異なるという効果が大きいことがわかり、時刻毎にその日影を計算するモデルも開発した。 今年度は、もう一つの目的である安定層のモデル化や、気象観測は未着手であるが、来年度に実行する予定である。
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