研究概要 |
外界と接する皮膚は、最前線の生体を守る免疫組織である。しかし、皮膚を構成する免疫担当細胞であるランゲルハンス細胞,角化細胞,肥満細胞などは紫外線により障害を受け、Tリンパ球やナチュラルキラー細胞も間接的に影響を受ける事が明らかとなってきた。 本研究で用いる感染症のマンソン住血吸虫は、中間宿主である貝から水中へ遊出した幼虫が、宿主の皮膚成分に誘引され、免疫組織である皮内へ進入することにより感染が生じる。 我々が日常曝露されている、太陽紫外線曝露の前処置を行ったDDYマウスへの感染実験を行い、紫外線の感染に及ぼす影響を検討している。 本年は、申請の実験計画に基づき、紫外線曝露による免疫抑制について検討した。 免疫の測定項目は、感染に対する防御反応の指標として重要な、下記の項目を選定した。 1)細胞免疫:(1)CD4,(2)CD8 [実験動物]DDYマウス,[太陽紫外線曝露]当地における太陽南中時に15分間曝露を、無拘束マウスに対し屋外で、1週間の間隔を置き2回行った。非曝露マウス(対照群)と曝露マウス:背部体毛を刈ったマウス(曝露無毛群),毛を刈らないマウス(曝露有毛群)の3群で比較した。[結果]曝露無毛群では、CD4/8が曝露後3日目に最低値となり、対照群と比較し有意差が認められた。しかし2週間後には回復した。曝露有毛群では、CD4/8が曝露後7日目に最低値となり、対照群と比較し有意差が認められた。しかし、曝露無毛群と同様に、2週間後には回復した。 2)液性免疫:(1)INF-α,(2)INF-γ,(3)IL-4,(4)IL-10;実験結果を、現在解析中である。
|