研究課題/領域番号 |
13680634
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
加藤 尚之 東邦大学, 医学部, 助教授 (50104154)
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研究分担者 |
大野 章 東邦大学, 医学部, 助手 (40223903)
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キーワード | レジオネラ属菌 / 温泉 / 汚染経路の解明 / L.pneumophila / PFGE法 / 塩素殺菌 / 残留塩素濃度 / Acanthamoeba |
研究概要 |
1.平成14年度に実施した温泉でのレジオネラ属菌の感染源および汚染経路の解明実験では、温泉およびその周辺土壌から検出された同一血清群のL.pneumophilaについて同一株由来か否かRandom amplified polymprphic DNA(RAPD)法を用いて遺伝学的見地から同定を行った。しかし、同一血清群を有していたにも関わらず遺伝学的な一致は認められなかった。そこで本年度は循環ろ過装置のろ材および浴槽から検出された本菌について血清群の同一性に関わらずRAPD法を試みた。その結果、異なる血清群であっても同一のバンドパターンが認められた。この結果は汚染経路を明らかにする糸口となると考えられることから、さらにpulesed-field gel electrophoresis(PFGE)法を用いてこれまでの土壌を含め詳細に検討を行っている。 2.L.pneumophilaおよびAcanthamoebaに対する殺菌効果について検討を行った。 (1)本菌に対する塩素殺菌効果の検討では、残留塩素濃度0.4ppmでは本菌添加後1分以上生息していた。1.0ppmでは本菌を添加後直ちに死滅した。残留塩素濃度0.4ppmでのpHの変化による殺菌効果の検討では、pHが高くなるにつれて殺菌効果が減衰することが確認された。これらの事から何らかの要因で浴槽中に本菌が侵入した場合に0.4ppmであってもpH7.5では1分以上、pH8.0では5分以上生息していることが示唆された。 (2)Acanthamoebaに対する殺菌効果について検討を行った。残留塩素濃度5ppm以上ではAcanthamoebaに貧食された本菌は検出されなかった。しかし、この濃度ではAcanthamoebaは約40%生存していた。従ってAcanthamoebaがシスト化して生存している可能性が示唆された。また本菌もAcanthamoeba内でViable but non-culturable(VNC)状態で生存している可能性が示唆された。
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